マイホームや投資用物件など、不動産の購入は人生の中でも特に大きな買い物のひとつです。

物件の見た目や立地、価格だけで決めてしまうと、後になって「こんなはずではなかった……」というトラブルに発展することも少なくありません。

そこで今回は不動産購入時に必ず確認しておきたい重要なポイントを整理してご紹介します。

①法令上の制限

    不動産には、その土地や建物に対してさまざまな法令上の制限がかけられています。代表的なものが「都市計画法における用途地域」です。
    用途地域によって、建てられる建物の種類や用途、高さ、容積率、建ぺい率などが細かく定められています
    たとえば「第一種低層住居専用地域」では、高い建物やお店を建てることができず、静かな住宅街としての環境が守られる一方で、将来的に店舗を開いたり増改築をしたりする際には制約を受けることになります。

    また「建築基準法」による制限も見逃せません。建ぺい率・容積率のほかに日影規制、斜線制限など、隣地との関係で建物の形状や高さが制限されるケースもあります。さらに、土地によっては「市街化調整区域」に該当し、原則として新築や増改築ができない場合もあるため注意が必要です。

    これらの制限は、不動産会社が交付する「重要事項説明書」に記載されますが、契約前の段階でも役所の都市計画課などに問い合わせて確認することができます。特に将来的に建て替えやリフォーム、店舗兼住宅への転用などを考えている場合は、購入前に必ず確認しておきましょう。

    ②接道状況(戸建の場合)

      戸建住宅を購入する際にとても重要なのが「接道」の状況です。建築基準法では、建物を建てる敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。これを満たしていない土地は「再建築不可物件」となり、現在建物が建っていても、将来取り壊した後に新しく家を建てることができません。

      また、接している道路が「セットバック」の対象になっている場合もあります。幅員4m未満の道路(いわゆる42条2項道路)に接している場合、将来の建て替え時には道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退させる必要があり、実質的に使える敷地面積が減ってしまうことがあります。

      さらに、道路が私道である場合には、その私道の所有者やほかの利用者との関係にも注意が必要です。私道の掘削工事の際に承諾が必要になったり、维持管理の費用分担が発生したりすることもあります。接道状況は登記簿や公図だけでは分かりにくい部分もあるため、現地確認と合わせて、不動産会社や役所への確認をオススメします。

      ③支払い条件と手付金

        物件価格だけでなく、支払いのスケジュールや手付金の扱いについても事前にしっかり確認しておきましょう。
        一般的な不動産売買では、契約時に「手付金」を支払い、引き渡し時に残代金を支払う流れになります。手付金の額は物件価格の5〜10%程度が相場とされていますが、法律上の明確な上限はなく(宅建業者が売主の場合は上限が定められています)、当事者間の合意によって決まります。

        手付金には「解約手付」としての性質があり、契約後に買主の都合でキャンセルする場合は手付金を放棄することで、逆に売主の都合でキャンセルする場合は手付金の倍額を買主に返還することで、契約を解除できるのが一般的です。ただし、これはあくまで「相手方が契約の履行に着手する前」に限られるため、着手後はこの方法での解除ができなくなる点に注意が必要です。

        また、「住宅ローン」を利用する場合は、金融機関の審査や本融資実行のタイミングと、売買契約・引き渡しのスケジュールがうまくかみ合うように調整することも重要です。特に「ローン特約」の内容や期限は必ず確認し、万が一ローン審査が通らなかった場合に契約を白紙解除できるかどうかをチェックしておきましょう。

        ④諸費用や維持費

          物件価格ばかりに目が行きがちですが、実際にはそれ以外にもさまざまな諸費用がかかります。
          購入時にかかる主な諸費用には、仲介手数料登記費用(登録免許税や司法書士報酬)印紙税住宅ローンの事務手数料や保証料火災保険料不動産取得税などがあります。
          これらを合計すると、物件価格の6〜10%程度になることも珍しくありません。

          さらに購入後も、固定資産税・都市計画税といった税金が毎年かかるほか、マンションであれば管理費、修繕積立金、駐車場代なども継続的に発生します。
          戸建ての場合も、外壁や屋根の修繕、設備の交換など、将来的なメンテナンス費用を見込んでおく必要があります。特にマンションの場合は、修繕積立金が将来値上げされる可能性や、長期修繕計画の内容、積立金の残高なども事前に確認しておくと安心です。

          資金計画を立てる際は物件価格だけでなく、こうした諸費用や将来の維持費まで含めたトータルコストで検討することが大切です。

          ⑤契約不適合責任

            以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、民法改正により現在は「契約不適合責任」という制度に変わっています。
            これは引き渡された物件が契約の内容(種類・品質・数量など)に適合しない場合、売主がその責任を負うというものです。
            たとえば、雨漏りやシロアリ被害、給排水管の不具合など、契約時に説明されていなかった欠陥が後から見つかった場合、買主は売主に対して修補請求、代金減額請求、損害賠償請求、さらには契約の解除を求めることができます

            ただし、個人間の売買では、契約書の特約によってこの契約不適合責任の期間や範囲を制限したり、免責としたりするケースもよく見られます。一方、売主が宅建業者である場合は、原則として引き渡しから2年以上の期間を設けなければならないという規制があり、買主に不利になりすぎないよう保護されています。

            購入前には「売主がどのような物件状況報告書を提示しているか」「契約不適合責任に関する特約がどう定められているか」をしっかり確認しましょう。中古物件の場合は特に、インスペクション(建物状況調査)を利用して、専門家の目で事前に建物の状態をチェックしておくことも有効な対策です。

            ⑥契約解除条件や違約金

              契約後に何らかの事情で取引を中止せざるを得なくなることもあります。
              そのため契約書に定められている「契約解除条件」をあらかじめ理解しておくことが重要です。

              代表的なものとしては、前述した「手付解除」以外にも「ローン特約による解除(住宅ローンが承認されなかった場合の白紙解除)」、「契約違反による解除(相手方が契約内容を履行しない場合の解除)」、そして「契約不適合を理由とする解除」などがあります。それぞれ解除できる期限や条件、違約金の有無が異なるため、契約書の該当条項を読み込んでおく必要があります。

              特に「違約金」については、契約解除に伴って物件価格の10〜20%程度の違約金が発生する特約が設けられていることが多く、こうしたリスクも踏まえたうえで契約に臨むことが大切です。不明な点があれば、契約前に不動産会社や司法書士、弁護士などの専門家に確認することをオススメします。

              まとめ

              不動産の購入は大きな金額が動く取引であるだけに、価格や立地といった目に見える条件だけでなく、法令上の制限、接道状況、支払い条件、諸費用、契約不適合責任、契約解除条件といった、契約の「中身」にしっかり目を向けることが欠かせません。

              重要事項説明書や契約書は専門用語が多く難しく感じられるかもしれませんが、分からない点はそのままにせず、不動産会社や専門家に質問しながら、納得のいく形で購入を進めていきましょう。しっかりとした事前確認が、購入後の安心につながります。


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