今までは売主の「瑕疵担保責任」というものがありましたが、2020年の民法改正により「契約不適合責任」へと変わりました。

簡単に言うと「瑕疵担保責任」の「隠れた瑕疵」が「契約不適合責任」の「契約の内容に適合しない」という表現に変わったということです。
確かに「瑕疵(かし)」という言葉を聞いても……「ん?お菓子?」と思いますよね(笑)

「契約不適合責任」へ変更にあたり、瑕疵の範囲が増えたり、追完請求権と代金減額請求権が追加されたりと買主に有利な規定が更に増えました。

そこで今回は「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違いなどを説明します。



瑕疵には大きく分けて4種類

物理的瑕疵……不動産が負っている物理的な欠陥(床の傾きなど)

法律的瑕疵……法律や条例等の制限によって自由な使用収益が阻害されていること(再建築不可、容積率違反など)

環境的瑕疵……物件を取り巻く状況にキズのある状態のこと(騒音、異臭、反社会的勢力の事務所があるなど)

心理的瑕疵……物件内で生じた自殺や殺人事件、火災、忌まわしい事故などがあった(いわゆる事故物件)



上記以外で買主が知り得ない瑕疵が「隠れた瑕疵」です。

隠れた瑕疵

雨漏り

シロアリ

建築構造上主要な部分の木材の腐食

給排水管の故障


以前の「瑕疵担保責任」では上記の「隠れた瑕疵」について責任を負うことが決められていましたが、買主が知っている瑕疵・売主から知らされている瑕疵など、つまり「隠れていない瑕疵」は「瑕疵担保責任」の対象となっていなかったのです。

そこで2020年の民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わったのです。

「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違い

責任が発生する期間
・瑕疵担保責任 ⇒ 契約までに存在した瑕疵が対象
・契約不適合責任 ⇒ 物件を引き渡した時までに存在した不適合が対象

責任が発生する期間が延びたので、売主は不利・買主は有利になりました!


不適合(瑕疵)の範囲
・瑕疵担保責任 ⇒ 隠れた瑕疵が対象
・契約不適合責任 ⇒ 契約の内容に含まれているかによって決まる

契約の内容に含まれているかについては契約書への記載の有無が大きな基準となりますが、仮に契約書に記載されていない場合でも、その物件を保有する目的として必要な機能であると判断されれば、契約不適合となる可能性があります!


請求
・瑕疵担保責任 ⇒ 買主が「契約の内容に適合しない」事実に気づいた時に売主に対して請求ができて、売主は修理や補修等を行う義務が発生し、また買主は売主に対して契約解除や損害賠償の請求を主張することも可能
・契約不適合責任 ⇒ 上記の請求、契約解除、損害賠償に追加して「追完請求」と「代金減額請求」が加わった

「追完請求」は代わりになるものの請求や補修費の請求
「代金減額請求」は代金を減額させる請求


請求できる期間
・瑕疵担保責任 ⇒ 買主が瑕疵を知った日から1年以内(瑕疵によって損害があったことの証明、契約解除や損害賠償請求の権利の行使を1年以内に行う)
・契約不適合責任 ⇒ 1年以内に売主に当該不適合を通知すればOK


権利を行使できる期間
・瑕疵担保責任 ⇒ 引き渡しから10年
・契約不適合責任 ⇒ 引き渡しから10年 or 自らの権利を行使できると知った時、もしくは契約不適合を知った時から5年のどちらか早い期間が満了すると債権が時効で消滅する

例えば、引き渡し3年目で契約不適合を知った場合は、そこから5年以内に損害賠償などの権利を行使しないと時効で消滅してしまいますので、今までの引き渡しから10年より短くなる!(3年+5年=8年)

契約不適合責任免責(瑕疵担保責任免責)

個人間の売買であれば、特約でこの売主側の契約不適合責任(瑕疵担保責任)を免責(契約不適合責任を負わない特約)にすることができます
これを契約不適合責任免責(瑕疵担保責任免責)といいます。

売る側の立場になって考えてみれば、物件を売った後に経済的リスクを負うことは避けたいのが当然です。
特に売主が個人であり、不動産に関する知識に不安がある方や早期売却を考えている方であればなおさらですよね。


買主は少しでも安く買いたいのは当たり前です。
そこで契約不適合責任免責を利用します。

3100万円で販売している物件を3000万円にして欲しいと交渉があれば、「契約不適合責任免責という条件であれば売主に交渉できます」と言われることが頻繁にあります。

契約不適合責任免責の不動産は一般相場より安価になる傾向があるので、物件を引き渡し後すぐに建替えを想定しているのであれば、買主からしたらお買い得となるのです。

買主 ⇒ 契約不適合責任免責になるけど、安く買える
売主 ⇒ 価格は安くなるけど、契約不適合責任を負わなくてよい

※宅建業者が自ら売主で、買主が一般(宅建業者じゃない)の場合は宅建業法40条(担保責任についての特約の制限)が適用されるため、契約不適合責任免責の特約はありません

まとめ

以上が「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の変更点になります。

「結局、瑕疵担保責任から契約不適合責任に名称が変更されて具体的に何が変わったの?」と聞かれたら、「より買主が有利になった」と言いましょう。

不動産を購入する際は自分の目で建物の状態を確認するだけではなく、信頼できる不動産屋へ相談しましょう。
また場合によってはインスペクション(中古住宅の売買契約前に行う不動産調査)の利用といったことも考慮に入れることをオススメします。


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