iDeCo(イデコ)、NISA(ニーサ)という言葉を聞いたことはあるけど、具体的な内容はよく分からないという人が多いと思います。
簡単に言うと、iDeCoやNISAは税制が優遇されている投資(資産運用)のことです。
え?
投資なんてやったことないよ……。
素人だからよく分からないよ……。
iDeCoとNISAはどっちがいいのか分からない……。
このように考えるのは当然です。
今回は不動産ではありませんが、iDeCoやNISA(新NISA)の紹介、iDeCoとNISAの違いなどを簡単に説明します。
iDeCo、NISAってなに?
iDeCoやNISAは税制が優遇されている投資(資産運用)のことです。
iDeCoとは?
「individual-type Defined Contribution pension plan」からiDeCoとなっています。
「個人型確定拠出年金」の愛称として使われています。
つまり、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に、給付を受けられる「私的年金制度」のことです。
簡単に言うと、自分で決めた掛け金を積み立てて、自分で選んだ金融商品で運用するのです。
■メリット
・掛け金は全額所得控除になる(所得税・住民税の軽減になる)
・非課税期間中の利息や運用益にかかる税率の約20%は全額非課税になる
・満期まで持っていれば原則元本割れをしないので、運用のリスクは低い
・受取時も税金が優遇され、一定の金額までは税金がかからない(年金方式、一時金方式、両方のいずれかを選ぶことが可能)
※年金方式は「公的年金等控除」、一時金方式は「退職所得控除」が対象!
■デメリット
・iDeCoで積み立てたお金を受け取れるのは60歳以降(途中で引き出すことや、脱退はできない)
・商品の選択肢が少ない
・運用益より口座管理手数料が高いと元本割れの恐れがある
NISAとは?
「Nippon Individual Savings Account」からNISAとなっています。
NISAとは2014年から開始された「少額投資非課税制度」です。
株式や投資信託などで投資をした場合、売却して得た利益や受け取った配当金などの利益には20.315%の税金が課されますが、NISA口座を活用することで一定枠までの利益が非課税になります。
■メリット
・掛け金は全額所得控除になる(所得税・住民税の軽減になる)
・非課税期間中の利息や運用益にかかる税率の約20%は全額非課税になる
・上場株式や投資信託など、幅広い商品を購入して運用できる
■デメリット
・元本割れのリスクがある
(例)※新NISAの場合
投資元本 → 100万円
50%の利益が出たら……100万円(投資元本)+50万円(利益)です。
利益の50万円に税金(20.315%)がかかります。
【通常】税金→101,575円(利益50万円×20.315%)、手元に残るお金→398,425円
となりますが……
【NISAをやっている】NISA口座:税金→0円、手元に残るお金→500,000円
上記のようになります。
「旧NISA」と「新NISA」の違い
2023年までの「旧NISA」は年間投資枠上限120万円、非課税期間5年の「一般NISA」と年間投資枠上限40万円、非課税期間20年の「つみたてNISA」の2パターンから選択するかたちでしたが、2024年1月から「新NISA」となり「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が設けられ、非課税額なども大幅に拡大されました。
※2023年末までの一般NISAまたはつみたてNISAで投資した商品は2024年からの新しいNISAとは別枠で旧制度の非課税枠が適用されます!
※ロールオーバー(新しいNISAの非課税投資枠への移管)は不可!
旧NISAと新NISAを表にまとめてみました。
旧NISA | 旧NISA | 新NISA | 新NISA | |
種類 | 一般NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 | 無期限 |
運用商品 | 上場株式、投資信託など | 長期に適した投資信託 | 上場株式、投資信託など | 長期に適した投資信託 |
年間投資額 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
非課税額 | 5年間で600万円 | 20年間で800万円 | 1800万円 | 1800万円 |
非課税投資枠の再利用 | 売却は可能だが追加購入はできない | 売却は可能だが追加購入はできない | 売却した場合は生涯投資枠の再利用が可能 | 売却した場合は生涯投資枠の再利用が可能 |
資金の引き出し | いつでも可能 | いつでも可能 | いつでも可能 | いつでも可能 |
運用の利益の課税 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 非課税 |
確定申告、年末調整 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
非課税期間と非課税額が全く違いますね。
詳しく知りたい方は金融庁のホームページ内の「新NISA」をお読みください。
「iDeCo」と「NISA」の違い
新NISA | iDeCo | |
対象年齢 | 18歳以上 | 20~60歳 |
非課税期間 | 無期限 | 運用期間中 |
運用商品 | 上場株式、投資信託など | 定期預金、投資信託など |
年間投資枠 | つみたて投資枠=120万円 成長投資枠=240万円 | 自営業者など=81.6万円 会社員、公務員など=14.4~27.6万円 専業主婦=27.6万円 |
非課税保有限度額 | 1800万円 | なし |
資金の引き出し | いつでも可能 | 60歳まで不可 |
掛け金の所得控除 | 控除なし | 全額所得控除 |
運用の利益の課税 | 非課税 | 非課税 |
受取時の控除 | 控除なし | 年金で受給=公的年金等控除 一時金で受給=退職所得控除 |
確定申告、年末調整 | 不要 | 必要 |
iDeCoは掛金の拠出時、運用、受取時にそれぞれ税制優遇がありますが、NISAは運用期間中の利益が非課税ということのみです。
このように書くとiDeCoの方が良く聞こえてしまいますが、iDeCoは原則60歳まで引き出しができないのに対し、NISAはいつでも運用しているお金を引き出すことができるという点もあります。
「iDeCo」と「NISA」はどっちがいいの?
iDeCoは将来の年金受給額を増やすことを目的とした積立制度であり、NISAは投資収益に対する税制優遇を目的とした投資制度です。
それぞれが異なる金融目標や税制上の特典を提供しています。
つまり、どちらが良いではなくて、個々の投資目標や状況によって異なります。
iDeCo | NISA | |
投資目的 | ・将来の年金受給額を増やすことを目的とする場合に適している ・安定したリタイアメントプランを構築するための一環として、長期的な積立投資が可能 | ・投資収益の非課税を目指す場合や将来の資産形成を意識している場合に適している ・リスクを取りながらも資産を増やしたいと考える場合に適している |
運用の自由度 | 積立先が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に限定されているので、運用の自由度は比較的低い | 一定の枠内で自由に投資を行うことができるので、投資対象や運用方針を柔軟に選択できる |
税制面 | 積立した金額が所得控除として認められるため、年末調整の際に所得税や住民税が軽減される | 投資収益が非課税となるため、将来の利益を最大化することができる |
■iDeCoが向いている人
原則60歳まで引き出しができませんが、支払う時と受け取る時には税制優遇があります。
これらの税制優遇を利用して効率的に老後資金を準備していきたい人にオススメです。
■NISAが向いている人
iDeCoは原則60歳まで引き出しができませんが、NISAは運用しているお金をいつでも引き出せるため、60歳になるまでの間にお金を引き出せないのは不安に感じるという人はNISAがオススメです。
また上場株式や比較的リスク・リターンの大きな投資信託も購入できるため、積極的に投資で増やしていきたいという人にも向いています。
株主優待を目的とした運用も、売却によって譲渡益を得る場合もあるので、年間投資枠に余裕があれば株主優待を目的とした人にもオススメです。
つまり、自身の投資目標やリスク許容度、財務状況に応じて適切な制度を選択する必要があります。
またiDeCoとNISAを併用することも選択肢の一つです。
iDeCoとNISA両方の口座を開設し、それぞれ運用することもできます。
ちなみにiDeCoとNISAはそれぞれ別の金融機関で口座を開設することも可能です。
※iDeCoとNISAで同じ口座を使っての運用はできません!(iDeCo口座とNISA口座をそれぞれ別に作ればOKです)
まとめ
「iDeCoとNISAの違いは?」と聞かれたら「まぁ、同じようなものでしょ!」と答えてしまいがちですが、実は結構違う部分があるのです。
・「iDeCo」は税制優遇のメリットがある反面、原則60歳まで引き出しができない
・「NISA」はいつでも引き出せるが、iDeCoほどの税制優遇はない
このような両者の違いを理解して、それぞれの運用の目的に応じて制度を上手に使い分けることが大切です。
老後資金に関しては、原則60歳まで引き出しができない「iDeCo」の方が良いと思いますが、職業によって掛金上限が異なったり、年数によっては上限まで掛金を拠出しても十分な老後資金にならない可能性もあるので、余裕があるならば「NISA」との併用をオススメします。
今回は不動産とは関係ありませんが、今後もこのような情報を発信していけたらと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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