「衣食住」は生活において必要なものです。

「衣」は暑さや寒さから身を守るもの
「食」は人間の生命を維持するための栄養を補給するもの
「住」は身体の健康を保つための安らぎと安全を提供するもの

生きていくためにはどれも欠かすことができない大切なものです。
ですが、現在は「入居できる賃貸住宅を探すのが難しい」という人々も少なくありません……。

これをサポートするために現在、国が推奨しているのが「セーフティネット住宅」です。
今回は「セーフティネット住宅」や「住宅確保要配慮者」について説明します。


セーフティネット住宅とは?

「セーフティネット住宅」とは住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅のことです。
登録された住宅には一定の要件のもと、改修費等への経済的支援や要配慮者の方々への居住支援などが設けられています。

貸主は社会問題となっている空き家、空き室を活用することもできますし、借主は住宅補助もあるので条件が合えば安価で借りることができます。
更に生活相談や見守りなどのサポートなども受けられます。

※2007年に制定された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(通称:住宅セーフティネット制度)」が、10年後の2017年に大幅に改正され、家主への助成制度や住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度が創設されて、現在の「住宅セーフティネット制度」になりました!

セーフティネット制度の特徴

セーフティネット制度は次の3つから成り立っています。

住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度

専用住宅にするための改修・入居に向けた経済的支援

住宅確保要配慮者と建物のマッチング、入居支援の枠組み


・貸主 ⇒ 空き家の活用、住宅改修費用(バリアフリーなど)の補助制度がある

・借主 ⇒ 家賃補助や家賃債務保証、困った時の相談窓口の設置などがある

セーフティネット住宅のメリット

・住宅確保要配慮者でも入居を拒まれない

・国土交通省が定める基準(耐震性能や居住面積など)を満たしている安心安全な住居に住むことができる

・都道府県が指定する居住支援法人から、サービス(入居相談、生活相談、見守りなど)を受けられる

・連帯保証人を立てられない場合に、国に登録している業者から家賃債務保証を受けられる

・家賃、保証料の減免や補助が受けられる場合がある

セーフティネット住宅のデメリット

・対象物件が少ない

・入居者が精神的に不安定など何らかの事情を抱え込んでいる場合があり、トラブルに発展する可能性がある

・お風呂、トイレ、キッチンなどが共用の場合がある

住宅確保要配慮者とは?

・低所得者(月収15.8万円以下)

・高齢者(具体的な年齢は特に決まっていません)

・障がい者

・子育て世帯(18歳未満の子供がいる世帯)

・被災者(災害の発生から3年以内)※大規模な災害の被災者は3年以内という縛りはない!

・外国人

・DV被害者

・生活困窮者など

※セーフティネット住宅への入居条件は「住宅確保要配慮者」であることです!

セーフティネット住宅への入居の流れ

①物件を探す
・地域の居住支援法人、居住支援協議会などの窓口で相談する
・「セーフティネット住宅情報提供システム」から物件を検索する
・不動産仲介会社に相談する

※居住支援法人、居住支援協議会、セーフティネット住宅情報提供システムはインターネットで調べられます

②内見
実際に足を運んで、間取り、日当たり、設備、周辺環境を確認します

③契約の締結
重要事項の説明を受け契約を締結します

④引越・入居
契約締結時に入居予定日を決めます

入居にかかる費用

・前家賃

・管理費、共益費

・敷金

・礼金

・家賃債務保証料


入居にかかる費用は一般の賃貸住宅と同じですが、セーフティネット住宅は家賃が安いという訳ではありません

※ただし、低所得者(月収15.8万円以下)、そして入居者を住宅確保要配慮者に限定した登録住宅に入居することの2つの条件が揃えば、家賃や家賃債務保証料の補助制度の対象となることがあります!

実施の有無や内容については自治体によって異なりますので、詳しくは居住支援法人、居住支援協議会の相談窓口で聞いてみて下さい。

居住支援法人とは?

居住支援法人は住宅セーフティネット法を基準に居住支援を行う法人です。
都道府県が指定した法人(会社)です。

◆主な業務(借りる人に対して

・賃貸住宅の情報提供
・セーフティネット住宅への入居に向けた相談
・見守りや入居後の生活支援
・家賃債務保証(連帯保証人が立てられないときの代行サービスを紹介する)

ただし、法人によって業務の範囲が異なりますので注意してください。(上記の業務を全て行う必要があるわけではありません)

居住支援協議会とは?

居住支援協議会はスムーズな賃貸住宅の入居の促進を目的として設立された協議会です。
地方公共団体・不動産関係団体・居住支援団体などの協力のもとに設立されています。

◆主な業務(貸す人と借りる人に対して

・双方への情報提供・斡旋などの支援を実施
・借りる人には、居住支援法人と同じ内容のサポート
・大家や住宅確保要配慮者を対象とした講演会等の開催

上記などの支援を実施していて、住宅確保要配慮者の円滑な入居に向けて支援することを目的としています。

まとめ

今回はセーフティネット住宅や住宅確保要配慮者について説明しました。

「セーフティネット住宅」とは住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅のことです。
「住宅確保要配慮者」とは低所得者、高齢者、障がい者、子育て世帯、被災者、外国人、DV被害者、生活困窮者などを指します。


セーフティネット制度はすごく良いものに聞こえますが、現実問題として「住宅確保要配慮者」の入居を拒む大家さん(オーナー)の気持ちも理解できます。
当然ながら家賃滞納、孤独死、住民トラブルなどのリスクはありますから……これは仕方がないですね。

またセーフティネット住宅の数も少ないのです。
2023年9月末で約87万戸となっていますが、大東建託1社の物件で全体の6~7割を占めていますが…………その中で住宅確保要配慮者のみを対象にしている物件は登録住宅の僅か1~2%しかないのです。

セーフティネット住宅の登録件数が増えたことは嬉しい事ですが、これをセーフティネット制度の前進と呼んで良いのかは疑問が残ります。
セーフティネット住宅は周辺の類似物件の家賃との擦り合わせもあるので、家賃帯などが住宅確保要配慮者のニーズに合致しないこともあるので難しいのでしょう。


制度の活用実態には課題がまだまだあると思います。
現在、日本は高齢化や収入減少などの理由により、住宅確保要配慮者が増加すると予想されています。
今年元旦の能登半島地震のような自然災害も起きる可能性がないとは言えません。

そのような状況になった時にセーフティネット住宅の需要は確実に高まるので、国はもっと力を入れて欲しいと願います。

空き家で悩んでいる方は有効活用するためにセーフティネット住宅への登録をお願いします。
セーフティネット住宅への登録が分からない方は弊社にご連絡ください。

みんなで「住宅確保要配慮者」は社会全体の問題だと認識し、理解を高めていくことで良い方向に動くと信じています。
お互いが支え合うことが解決への第一歩なのです。


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