2024年4月、相続登記の申請が義務化されました。
「不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならない!」
このルールは長年放置されてきた「名義が先祖のまま」という日本特有の問題にメスを入れる大きな制度改正でした。
それから1年半。
現場では何が起き、どこまで改善が進んだのか?
そして、なお残る課題は何なのか?
今回の記事では制度の背景から現状、よくあるトラブル、そして今後の展望までを、できるだけ分かりやすく整理していきます。
不動産オーナーの方はもちろん、「実家の名義、どうなってたっけ?」と一瞬でも頭をよぎった方には、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

なぜ相続登記は義務化されたのか?
◆長年放置されてきた所有者不明土地問題
日本には所有者が分からない、あるいは連絡が取れない土地が大量に存在すると言われてきました。
その多くは相続が発生しても登記がされないまま、何世代も放置された不動産です。
- 相続人が多すぎて話し合いができない
- 固定資産税が安く、困っていない
- 売る予定も使う予定もない
こうした理由から「とりあえず放置」が積み重なった結果、公共事業が進まない、空き家が増える、災害復旧が遅れるなど、社会全体に影響が及ぶようになりました。
◆「努力義務」では変わらなかった現実
義務化以前も相続登記は「やった方がいい」と言われていました。
しかし、罰則のない努力義務では現実はほとんど動きませんでした。
そこで導入されたのが、相続登記の申請義務化+過料(罰金)という仕組みです。
義務化から1年半、数字に表れた変化
◆登記件数は確実に増えた
法務局や司法書士の現場では以下の2点が増えているそうです。
・相続登記の相談件数が明らかに増加
・「罰則があると聞いて慌てて来ました」という相談
特に目立つのは、
・何十年も前に亡くなった親名義の不動産
・相続人が3人以上いるケース
これまで放置されがちだった案件が動き出している点です。
しかし……義務化直後は、すぐ動く人、まだ大丈夫だろうと様子を見る人に二極化しました。
1年半経過した現在も「3年以内だからまだ平気」という心理から、先送りしているケースは少なくありません。
現場で見えてきたリアルな課題
課題①相続人が多すぎる問題
時間が経てば経つほど相続人は増えます。
- 祖父名義 → 父が相続せず死亡
- 父の兄弟姉妹、その子どもたち
結果、相続人が10人以上というケースも珍しくありません。
1人でも連絡が取れない、話し合いに応じない人がいると、手続きは一気に難航します。
課題②お金にならない不動産の存在
地方の土地や老朽化した空き家など、売れない、貸せない、使い道がない不動産ほど、相続登記は後回しにされがちです。
「登記したら固定資産税や管理責任だけ増えるのでは?」という不安が、行動を止めてしまうのです。
課題③罰則があるのに、知られていない
意外に多いのが、「え、相続登記って義務になったんですか?」という反応です。
制度自体がまだ十分に浸透しておらず、知らないまま期限を迎えるリスクは現実的に存在します。
よくある誤解と勘違い
よくある誤解の1つが「遺産分割が終わらないと登記できない?」ですが、実は法定相続分での登記は可能です。
とりあえず登記をしておき、後から分割協議をするという選択肢もあります。
これを知らずに「話し合いが終わらないから無理」と思い込んでいる人は少なくありません。
勘違いで多いのが、「司法書士に頼むと高い」です。
確かに費用はかかりますが、
・戸籍の収集
・相続関係の整理
・書類作成の正確性
を考えると、時間と精神的負担をお金で買うという見方もできます。
義務化がもたらした静かな変化
◆不動産の「棚卸し」が進み始めた
相続登記をきっかけに、使っていない土地や空き家を見直す動きが広がっています。
「これは本当に持ち続けるべきか?」と考える人が増えたこと自体、大きな変化と言えるでしょう。
◆空き家対策・土地活用への波及
登記がされることで、下記の選択肢が初めて現実になります。
・売却
・賃貸
・国や自治体の制度利用
義務化は単なる罰則付きルールではなく、不動産を動かすためのスタートラインでもあるのです。
これから相続登記をする人への現実的アドバイス
①まずは「名義」を確認する
・固定資産税の納税通知書
・登記簿謄本
この2つで現状はほぼ分かります。
②放置年数が長いほど、早く動く
「そのうちやる」は相続人増加、書類紛失、トラブル拡大を招くだけです。
③困ったら専門家を使う
司法書士・弁護士・税理士など。
すべてを一人で抱え込む必要はありません。
相続登記は「面倒から必須」へ
相続登記の義務化から1年半。
劇的にすべてが解決したわけではありません。
しかし、下記の点で確実に前進しています。
- 放置されていた不動産が動き出し
- 相続を「考えるきっかけ」が生まれ
- 次世代への負の遺産を減らす
相続登記は単なる事務手続きではありません。
家族の問題であり、資産の問題であり、社会の問題でもあるのです。
このブログが、「うちは大丈夫かな?」と考えるきっかけになれば幸いです。
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